2.ノイマルクト(ピヒルシュロス、グレベンツェン自然公園) グラーツ駅まで見送りに来てくれた友人夫妻に手を振ってお別れをし、午後2時にウンツマルクト駅に着くと、ホテルから約束どおりマイクロバスが迎えに来てくれていたので、もう二人のお客さんと一緒に乗り込みました。30分ほど走って、ホテル「ピヒルシュロス」に到着。ノイマルクトという小さな町から、5分くらい山道を登った中腹、海抜876mに立つ、中世のお城を改造したホテルです。女主人がにこやかに迎えてくれました。まあ、眺めのいいこと! それに空気のおいしいこと!
呼吸療法の参加者は10人ほど。申込者が多かったので、私たちは先週に引き続き、二度目のコース参加者です。参加者はみな同じテーブルで食事をするので、お互いを紹介し合い、食後の8時から1時間ほど、呼吸療法の説明と導入がありました。終わりには、もう足の裏が暖かくなったのを感じました。 呼吸療法は、気功やヨガが意識的に呼吸をコントロールすることで宇宙のエネルギーの流れに一体化したり、身体をコントロールしたりするのに対し、無意識に正しく呼吸できるようになることを目指すもので、これを実現するために様々な身体の動きとそれに合わせた母音の発声によって、体内空間と身体を支える骨格を感じ取り、意識して行きます。
疲れるような激しい動きはないのに、まだ山の新鮮な空気に慣れていなかったこともあり、なんと効果があり過ぎて(!)ものすごく疲れてしまい、おかげでコースのうち、水曜日と金曜日は部屋で寝ていることと相成りました。もっとも毎回、その日の夕食には出て行かれるまでに回復したのですけれどね。そこで、もう私の体力ではこれ以上コースは受けない方がよいと判断。土曜日は、練習は見るだけにしてメモを取りました。
呼吸療法についての予備知識はほとんどない状態で行ったので、呼吸とエネルギーの流れの持つ力の大きさにびっくり! でも家で無理せず、少しずつやっていけば、健康増進に相当な貢献をしてくれそうな気がします。 コースは午前中の2時間半だけ。日によっては午前中と夕方に分けたり、夕方だけだったり、ホテルが用意してくれている宿泊客用プランとの兼ね合せによって色々。自由時間もたっぷりですから、ホテルの企画したハイキングや薬草園見学に参加したり、ホテルの庭の寝椅子で読書やお昼寝をしたりと、みんな本当に気の向くまま、ああ、休暇、という過ごし方をします。 8月15日(水) 場所はホテルに許可を得て、「緑のサロン」を使わせてもらえることに。ここにはコンサート用のグランドピアノも置いてあり、内装もエレガントだし、コンサートの環境としては最高です。椅子を輪に並べて、午後8時頃、コンサート開始。参加者の中にブルガリア人の男性がいて、ものすごく歌が上手というので、まず彼にブルガリアとロシアの民謡を歌ってもらいました。深みのある素晴らしい声、哀愁のあるメロディー。翻訳なんて全然必要ありませんでした。彼の表現力が素晴らしいので、そのまま思いが私たちに伝わって来ました。彼の歌とギターの伴奏に私たちは身体中耳になり、歌の中に引き込まれていきました。 さて、今度はコース参加者のオーストリア人男性がギターを弾き、案内人の女性と一緒にオーストリア民謡を歌ってくれました。男性が歌う低音部と澄んだ彼女の声が歌う高音部とが気持ちよく調和して、ああ、民謡っていいなあ!と思いました。それぞれの民族が大切にする思いが、民謡を通して伝わって来る気がします。音楽は人の心を結びつける、と心底実感した瞬間でした。 私たちの小さなコンサートを、偶然下を通りかかったイタリア人のカップルが聞きつけて、二階の「緑のサロン」に上がって来ました。「私たちもコンサートを聞かせてもらってもいいでしょうか?」ですって! もちろん、どうぞ!と座ってもらったら、メンバーは、ドイツ人、オーストリア人、ブルガリア人、日本人の他にイタリア人が加わってさらに国際的になりました。 またブルガリア人とオーストリア人の二人が歌ったら、ねえ、日本の歌も聞かせて! ほら、「さくら」の歌があるでしょう?という声が上がって、ついに私も歌うことに。まあこの際、私しか日本人はいないのだから、草の根文化大使にならないと、と腹をくくって(ちょっとオーバー?)、「さくら、さくら」と「隅田川」を歌いました。ピアノはあっても、弾き語りしたらどちらかがだめになってしまうので、アカペラ。それでもなかなか聞けない日本の歌ですから、みんな喜んでくれて、私もホッとしました。「荒城の月」とか「さくら、さくら」くらいピアノを弾きながら歌えるように、練習しておかなくちゃね。 「緑のサロン」の優雅な雰囲気、気の合った仲間同士が集う中に流れる民謡の心。私たちの心の糸が結ばれたような、本当にすてきな、至福の二時間でした。 8月16日(木) グリルパーティ、早く始ま〜れ!(午後6時半頃です。明るいでしょう?) 8月17日(金) 8月18日(土)
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